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して徐々に広い地域に拡大されていった。南部ではホーチーミン市内6地域で、2SHRZ/6HTまたはHEの比較実験の形で開始され、1991年8月までに南部38地域(南部全域の22%、38/170)に拡大された。1989年から1991年までの1,296人に関する予備的成績では治癒87.6%、治療終了2.2%、死亡1.3%、失敗1.9%、脱落5.4%、転出12.5%と格段にすぐれた成績を示している。脱落率は5%で、在来法の15%よりも低い。
失敗率も2%で、在来法では11%。致命率も同様に2%対4%。
全体的な治癒率は88%対58%。再発率はこれまでのところ2%できわめて低い。
なお副作用のうち重度でレジメンを変更したもののなかにTによる発疹が17.1%もあり、以後ベトナムでは6HTレジメンは用いないこととなった。

 

7) 管理・監督
プログラム実施の管理あるいは監督は以下の記述のようにピラミッド構造の上部から下部に対して行われている。

 

? 中央レベル:国立結核研究所が行う。
各県にチームを派遣して監督・評価を行うほか、県への薬剤の供給、研究、研修(上級職員、学部・卒後の医学教育なども行う。
? 県:郡の医介補の訓練、検査技師の養成を行い、また郡やコミューンの技術監督および要員によるレビューミーティングを主催
する。
? 郡:コミューンヘルスポストの監督・支援を行う。
結核の診断・治療のためのキーになる施設である。
? コミューン:郡の指導のもとに患者管理を行い、結果を郡に報告する。
これらの機構の間には月報、四半期報告、半期報告、年報の報告がある。
基本的には結核の患者発見・治療については情報収集は郡レベル以上でひとまず完結しているといえよう。

 

8) 外国からの援助
結核の分野で両・質ともに、また歴史的にいっても最も重要なのがオランダの援助である。
オランダのベトナムの結核対策に対する援助は戦乱が終結した1975年、医療全般の協力の一環としてMCNV(オランダ・ベトナム医療委員会、Medical Committe Netherlands-Viet Nam)として開始され、当初は政府プログラムであったが、1980年のカンボジア問題でオランダ政府がベトナム政府に対する制裁に路み切ったのをきっかけに1986年から援助の実施は民間団体に肩代りされることになり、以降はオランダ結核予防会と国際結核サーベイランス・センターが継続して協力を行っている。このプログラムではまず全国的な

 

 

 

 

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